派遣の仕事を始めてみたいけれど、「そもそも一般派遣とは?」「派遣は種類がありすぎて分からない」といった不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、一般派遣を始めとして、他種の派遣も分かりやすくご紹介します。
一般派遣と紹介予定派遣の違いも丁寧に解説するので、これから派遣を始める方でも安心して取り組めるはずです。働く上での不安もきっとなくなるでしょう。
一般派遣で働くコツをしっかりと押さえて、楽しく働きましょう。
目次
そもそも一般派遣とは?
まず「一般派遣」とは、言い換えると「人材派遣」のことです。
派遣社員と聞いて多くの方が思い浮かべるイメージは「一般派遣」でしょう。
「派遣」とは、派遣会社と雇用契約を結んで、派遣会社から紹介された派遣された企業で仕事をするという働き方のスタイルのことを意味しています。
就職して仕事をする場合は、就職先の会社と雇用契約を結ぶため、給料は就職先の会社から支払われますよね。
しかし、派遣の場合は雇用契約を派遣会社と結ぶため、当然、給料も派遣会社から支払われます。
また、一般派遣は求人数が豊富かつ特別なスキルを持っていない方でも働くことができる形態です。
業界や職種も幅広く、事務職や製造職、販売職と自分にあった仕事を見つけることが可能ですから「自分の好きな仕事を好きなだけしたい」方に適した働き方でしょう。
一般派遣と特定派遣の違いとは?
ご紹介した一般派遣以外にも派遣社員の形態は多く存在します。
中でも「専門性の強い派遣社員」として有名な「特定派遣」について本項目では解説します。
なお、特定派遣はすでに廃止された雇用形態であるため現在は存在しません。しかし特定派遣に近い働き方も存在しますので、順を追ってご紹介します。
一般派遣と特定派遣の違いを簡単に説明すると、次の2つがあります。
① 業務の専門性
② 雇用形態
これらの違いを詳しく見ていきましょう。
違い①:業務の専門性
業務の専門性に関して、一般派遣と特定派遣の違いを表にまとめてみました。
高いスキルや知識が求められるかそうでないか、という違いがあります。
一般派遣 |
特定派遣 |
あらゆる種類の仕事に対応できる、派遣スタイルのこと。
派遣先を自分で選んでエントリー
して採用されたら働ける。
特定派遣と違い、専門性の高いス
キルが求められるわけではない。
|
専門性が高い仕事に対応できる、
派遣スタイルのこと。
スキルと知識を必要とする会社に
派遣される。
したがって、専門性の高いスキルが 求められる。
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違い②:雇用形態
雇用形態に関して、一般派遣と特定派遣の違いは以下の通りです。
契約スタイルが違う、ということですね。
一般派遣 |
特定派遣 |
登録タイプの派遣
先に派遣会社に登録をするだけ。
派遣先が決まったら、派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社と派遣先との間の契約期間の間、派遣先で働くというもの。
雇用期間が決まっている。
派遣期間が終了したら給与の支払いはストップする。
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常用タイプの派遣
先に派遣会社と雇用契約を結んで、派遣会社の社員になる。
それから配属先である派遣先で、社員として働くというもの。
雇用期間は決まっていない。
派遣期間が終了しても給与の支払いはストップしない。
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特定派遣は禁止され現在は一般派遣のみ
2015年に、特定派遣の制度は禁止されました。特定派遣廃止の大きな目的は「派遣社員の雇用安定」です。
一見すると特定派遣はメリットが豊富ですが、実情を踏まえると一概に「良い」とは言えませんでした。特定派遣は派遣会社と直接雇用を結ぶことから、正社員のように安定した働き方ができると記載しましたが、実際の現場では正社員の扱いを受ける方ばかりではありませんでした。
制度の裏を返せば「特定派遣=派遣会社の正社員」ではなく「雇用期間に定めがないこと」が特定派遣の特徴ですから、雇用期間に定めがなければ契約社員でも準社員でも良くなります。
したがって、実際に特定派遣として働く方には、契約社員や準社員と不安定な働き方が多く存在していました。
上記のような制度の裏をかいた不安定な雇用形態を改善するために、特定派遣廃止が行われたのです。
現在、特定派遣と一般派遣は一本化され、その総称は「労働者派遣事業」です。
一本化とは言われますが、一般派遣のスタイルが採用されています。
特定労働者派遣制度の廃止後の対応は?
2015年に廃止が決定した特定労働者派遣制度ですが「明日から廃止です」となっては当然、派遣会社も労働者も混乱します。
したがって、2018年9月29日までは国に申請することで、特定派遣は認められていました。しかし2018年9月30日以降は完全に制度が廃止され、現在は認められていません。
一般派遣と紹介予定派遣の違いとは
特定派遣の廃止に伴い「紹介予定派遣」が注目されています。
繰り返しになりますが、紹介予定派遣は「派遣先企業での直接雇用を前提に派遣されるシステム」を言い、最長6ヶ月の期間で直接雇用を目指せる派遣の形態です。
本項目では一般派遣と紹介予定派遣の違いを比較して解説します。
違い①:派遣契約できる期間
一般派遣の場合、契約期間は3ヶ月から長くとも3年という決まりがあります。
一方で紹介予定派遣は「最長6ヶ月」と期間が短めに設定されています。
紹介予定派遣は、非常にタイトな期間設定の中で直接契約を結ぶかどうかの決断を労働者と企業が決定しなければなりません。
違い②:直接雇用契約のタイミング
一般派遣でも企業と直接雇用契約を結ぶチャンスはあります。
派遣先での働きぶりを認められた場合、派遣の「3年ルール」により3年経過前に直接雇用の提案があるケースが多く聞かれます。
一方で紹介予定派遣は、6ヶ月以内には直接契約を結べるか否かがスピーディーに判断がなされます。
違い③:派遣契約満了後の雇用
一般派遣は派遣契約終了後は次の職場を探す必要があります。
しかし紹介予定派遣は「派遣先企業との直接契約」を前提とした働き方ですから、派遣契約満了後は派遣会社を離れ、派遣先企業と正式な雇用契約を結びます。
違い④:事前面談の有無
一般派遣の場合、雇用契約締結前の面談は原則として禁止されています。
ミスマッチを防ぐために会社訪問や顔合わせという名目で派遣先企業を訪れる機会はありますが、採用不採用を問うことは極めて稀です。
一方で紹介予定派遣の場合は面談が実施されます。
紹介予定派遣のゴールは「派遣先企業での直接契約」ですから、派遣先企業も慎重に人材を選ぶ必要があり、面談は必須です。
一般派遣のメリットは?
一般派遣と特定派遣を比較し、さらには特定派遣に代わって安定した働きを目指せる紹介予定派遣との違いを解説しました。
だんだん一般派遣について理解が深まってきたのではないでしょうか。
本項目ではさらに一般派遣へのイメージを深めるため、一般派遣のメリットを4つご紹介します。
パートと比べると時給が高い
「非正規」という同じ括りに属しているパートやアルバイトに比べると、派遣社員は時給が高く効率的な働き方でしょう。
パートの場合だと時給900円の仕事でも、派遣社員では時給1,000円以上に設定されている仕事は多くあります。
派遣社員の時給は交通費や賞与を加味されているため高時給になっています。しかしパートの場合は交通費の支給があっても、賞与がない企業がほとんどです。したがって派遣社員の時給の良さはパート勤務に比べて魅力的と言えます。
生活スタイルに合った仕事が選べる
一般派遣は登録の際に「自分の希望する勤務時間や曜日、職種」を担当者に伝えることができます。例えば子育ての合間に働きたい方の場合「10時から16時まで」「子供が体調不良の際に休みやすい仕事」と、希望を細かく設定して仕事探しができます。
仕事だけでなくプライベートを大切にしたい方は、一般派遣がおすすめです。
正社員よりも給与が高いことがある
派遣社員の時給は1,100円から1,300前後の高時給であるケースが多いです。
したがって同じ仕事をする派遣先企業の正社員よりも、派遣社員の時給は高くなります。
効率よく稼ぎたい方にとって一般派遣はとても適しています。
様々な職場で経験を積むことができる
一般派遣は契約期間に定めがあるからこそ、様々な職場を経験できます。
同じ業種で企業を多く経験すれば特定の仕事のスキルアップを図れます。
また様々な業種を経験した場合、多くの仕事の経験値が上がりマルチに勤務できる人材として派遣会社から重宝されます。
様々な職種や職場で経験を積むことは「自分に合った仕事」を探すために役立ちますから、将来性を持って勤務ができます。
一般派遣のデメリットは?
「自分の生活に合わせて無理なく働ける」「時給が高く効率的」とメリット豊富な一般派遣ですが、デメリットも存在します。
本項目では一般派遣で働く時に考えられるデメリット3つをご紹介します。
デメリットをあらかじめ知っておくことで、仕事を始めてから後悔したりミスマッチが起こる可能性を抑えられますよ。
大きな仕事は任せてもらえない
一般派遣のメリットは「スキルがなくてもできる簡単な仕事」が多いことです。
したがって責任が伴う大きな仕事や、専門的技術が必要な仕事は担当できません。
「自分にしかできない仕事を任せてもらいたい」「大きな達成感を味わいたい」方にとって、一般派遣は難しいでしょう。
契約更新しても3年しか同じ職場にいられない
派遣社員には「3年ルール」が存在し、同じ職場で3年以上勤務することができません。派遣社員の雇用機会を均等にするために必要な制度ですが、最長3年で次の職場の心配をしなければならないことは精神的負担となります。
雇用が不安定
一般派遣は雇用期間の定めがあり、最長で3年までしか同じ職場で働けません。これを「派遣法の3年ルール」と言います。3年ルールについては以下で詳しくご紹介するので確認してみてください。
さらに、派遣先企業の経営状況によっては早めに契約終了になる可能性もあります。
契約更新のたびにドキドキしながら過ごすのは辛いものがありますよね。
雇用の不安定さを解消したい場合は「常用型派遣」「紹介予定派遣」を検討すると良いでしょう。
派遣法の3年ルールとは?
「派遣法の3年ルール」とは、労働者派遣法で定められているルールのことです。
派遣されて働いている人が、同じ会社の同じ部署で働き続けられるのは原則3年まで、ということが法によって定められています。
この3年ルールに違反した場合は、罰則を受けたり、行政処分を受けます。
それで、たとえ派遣先の企業側が長く働いてほしいと思っても、3年以上の継続雇用ができなくなるのです。
そのようなわけで、直接雇用に踏み切る企業もあります。
3年ルールには例外もある
派遣法の3年ルールには例外もあります。例外とされる条件は次のようなものです。
- 派遣会社と期限を定めずに雇用契約を結んでいる場合。
- 派遣社員として働く人が、仕事を始めてから3年後に60歳以上であること。
- 期限があるプロジェクトに携わっている場合。ただし、プロジェクト終了時まで3年ルールが適用されないということ。
- 1か月間に働いている日数の合計が10日以下で、働く時間も通常の半分、と限定的な仕事をしている場合。
- 産休や育休、介護休暇などで休んでいる従業員の代わりに仕事を行うために派遣されている場合。
- 3年間という期限の途中で、別の部署に異動した場合。
派遣社員が3年ルールを回避するには?
派遣社員が3年ルールを回避するための方法は次の3つです。
- 紹介予定派遣で働く
- 無期雇用派遣で働く
- 派遣先の別部署で働く
それでは、1つ1つ詳しく解説します。
紹介予定派遣で働く
紹介予定派遣で働くと、3年ルールを回避できます。
紹介予定派遣とは、派遣先の企業との直接雇用を見据えた上で派遣会社と雇用契約を結ぶことです。
ただし、必ず直接契約にたどり着くわけではありません。
自分には合わないと思ったら、直接雇用をしなくても大丈夫です。
逆に、企業側から「直接雇用契約は結ばない」と言われてしまう場合もあることを予測しておく必要もあります。
以前は、紹介予定派遣から直接雇用に至ったとしても、もともとその企業で働いていた人たちとの待遇の差が目立ちました。
しかし、2020年4月から「改善労働者派遣法」が施行されているため、派遣で働く人への待遇が良くなっていると言えるでしょう。
派遣で働きたいと思っている方にとって、ぜひ知っておきたいメリットですね。
無期雇用派遣で働く
無期雇用派遣で働くことで、3年ルールを回避できます。
無期雇用派遣とは、派遣会社と期限を定めずに雇用契約を結び、派遣先の会社で働くことです。
派遣3年ルールの対象は、派遣会社と期限を決めて雇用契約を結んで、働いている人です。
そのため、無期雇用派遣で働く人には、3年ルールが適用されなくなります。
無期雇用派遣によって、派遣先で長く働けるとはいえ、雇用主は引き続き派遣会社であるという点では「紹介予定派遣」とは異なるでしょう。
派遣先の別部署で働く
派遣先の別部署で働くことでも、3年ルールを回避できます。
労働派遣法が定める3年ルールは、同じ企業の同じ部署で継続して働く期間が最大で3年まで、というものです。
それで同じ企業の別の部署で働く場合には、この3年ルールが適用されなくなります。
例えば、経理部で2年半働いた後、企画開発部へ異動した場合、異動から3年は同じ企業で働ける、というわけです。
しかし場合によっては企業側にリスクがあるため、企業側がこの方法を必ずしも受け入れるとは限りません。
派遣で働く際によくある質問
初めて派遣で働く際には、さまざまな疑問もあるのではないでしょうか。
最後に、派遣で働く際によくある質問にお答えしていきます。
- 一般派遣から紹介予定派遣に切り替えられる?
- 特定派遣はなぜ、廃止になったの?
- 特定派遣の廃止による影響は?
- 正社員のメリット・デメリットは?
以下の4つの質問について見ていきましょう。
一般派遣から紹介予定派遣に切り替えることは可能?
一般派遣から紹介予定派遣に切り替えることは可能です。
ただし、雇用契約を結んでいる派遣会社の合意が得られた場合のみとなります。紹介予定派遣とは企業との直接雇用を目的としたものなので、その意思がはっきりとあると分かれば、紹介予定派遣に切り替えてもらえるはずです。
特定派遣はなぜ廃止になったの?
働く特定派遣は安定性のある働き方ができることが魅力でした。
それにも関わらず、常用タイプの雇用ルールが守られないことも多くあり、短期間で解雇されてしまうこともあったのです。それでは特定派遣の魅力は発揮されません。
また、「派遣先との契約終了後も給与を支払う」というルールに従わず、雇用契約を終了したり、解雇する会社もあったからです。
本来の目的である、安定的な雇用スタイルがみられなくなった結果、廃止に至りました。
特定派遣の廃止による影響は?
特定派遣が廃止になって、一般派遣のみになったことで、派遣労働者数の減が減りました。
さらに法の改正によって、派遣3年ルールが設けられたため、派遣労働者は3年以上同じ企業で働き続けることができなくなるという影響もあります。
また派遣会社の数や売上高が減るという事態が生じていることも、この特定派遣の廃止による影響です。
正社員のメリット・デメリットは?
働く派遣社員のメリットには、就活しなくても次に働く場所が決まるというものが
あります。
しかも未経験でも正社員になれるため、スキルアップを期待できるでしょう。デメリットには、継続して働けるのは3年だけである、ということが挙げられます。
また、昇給もボーナスも受け取ることはできないというのもデメリットです。契約社員だと、車や家を購入する際にローンの申請が通らない場合もあります。
まとめ
今回は、「一般派遣とは何か」というテーマでお話ししました。
一般派遣と特定派遣の違いは次の2つにあります。
① 業務の専門性
② 雇用形態
派遣法には例外もありますが、3年ルールと呼ばれるものがあります。
派遣社員が3年ルールを回避するためには、次の方法がおすすめです。
① 紹介予定派遣で働く
② 無期雇用派遣で働く
③ 派遣先の別部署で働く
派遣社員で働きたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
派遣会社への登録について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
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