派遣社員で結婚を考えているけれど、
「派遣社員は結婚が難しい」
「周りから反対されたらどうしよう」
といった派遣へのマイナスイメージや、結婚に対する不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、派遣社員が結婚できないという風説を覆す情報と、結婚への道をきちんとつなげる戦略をご紹介します。
派遣社員が結婚するメリットも述べるので、派遣だから結婚できないという悩みを解消することが可能です。会社に結婚報告する際のタイミングや、結婚した時に行う手続きなども解説するので、結婚する際の未来図も描くことができますよ。
正社員を目指すという手もありますが、派遣社員だからこそのメリットもあるので、無理に働き方を変える必要はありません。
この記事を参考に、派遣社員でも自信を持って働いていきましょう。
目次
派遣社員は結婚できない?不安に感じる理由とは
一般論として、「派遣社員は男女ともに結婚できない」というイメージがあるようです。
仮に結婚を考えていたとしても「彼が派遣社員」「彼女が派遣社員」と両親に伝えると、苦い顔をされてしまうことも。そのため、派遣社員の彼氏との結婚に悩む女性、派遣社員の彼女との結婚に悩む男性は多いようです。
仕事をしているにも関わらず、なぜ派遣社員は「結婚」に不向きだと捉えられてしまうのでしょうか。
本項目では、派遣社員との結婚を不安に感じる理由について見ていきましょう。
正社員よりも年収が低い
派遣社員の場合、ボーナスや昇給がないことから、年収が正社員に比べて低いです。
一例として、30代男性の平均収入で比較すると、正社員は年収430万円に対して派遣社員は310万円。約100万円の差が出ています。
ボーナスや退職金、昇給がある正社員は、やはり収入が安定しており結婚には適しているのでしょう。
共働きする必要がある
先述した通り、派遣社員は正社員に比べて年収が低いです。
結婚して子供を育てていくとなると、派遣社員の男性側1人の年収では足りず、共働きする必要もあるでしょう。
女性の場合は出産や育児により一時的に仕事をリタイアする必要がありますが、共働きでしか成り立たない家庭の経済状況では、出産を諦めなければならないケースもでてくるかもしれません。
派遣社員の場合は「共働き必須」という理由が元で、結婚後の生活維持や育児が難しいという問題があります。
将来に不安を感じる
派遣社員は正規雇用ではありませんから、「いつ切られるかわからない」という不安が常につきまといます。
仕事が不安定だと当然収入も不安定になり、資金繰りのプランを計画することが困難です。
したがって、「派遣社員の場合は教育資金や老後が心配」と思われるのも仕方がありません。
相手が派遣だと親や友達に反対される
派遣社員の男性と結婚したいと女性側が思っていても、自分の両親に紹介しづらいという方は多いようです。
「娘が(息子が)連れてきた人は派遣社員」となれば、あまり良い顔をしない両親世代も少なくないのではないでしょうか。
「派遣社員は収入が不安定」というイメージから、親が「娘を金銭面で苦労させたくない」と考え、結婚を許してもらえないケースはよくある話です。親以外にも、「大切な友達が苦労する姿は見たくない、心配」という考えから友達に反対されるというケースもあります。
お付き合いならまだしも、「結婚」となればお互いの両親が関係してきますから、悩むところですよね。
しかし、必要以上に両親の意見を気にかける必要はありません。
生活ができており、将来の見通しができているのであれば結婚は当人同士が決めることですし、自分たちの気持ちを優先するのが1番です。
派遣社員の男性の結婚率は?
交際相手が派遣社員の場合に悩む男性・女性は多いようですが、実際の結婚率はどうなっているのでしょうか。
この章では、派遣社員の男性の結婚率についてご紹介します。
厚生労働省による「社会保障を支える世代に関する意識等調査報告書」では、20〜64歳を対象に、「正規・非正規別の未婚率」を調査しています。
結論からいうと、正社員に比べると、非正規雇用の結婚率は非常に低いです。しかし、非正規雇用で一括りにされているので、派遣会社以外のアルバイトやパートなどが含まれていることも頭に入れておきましょう。
【未婚率】
|
正規雇用 |
非正規雇用 |
倍率 |
20歳代(男性) |
67.5% |
94.0% |
約1.39倍 |
30歳代(男性) |
30.7% |
75.6% |
約2.46倍 |
40歳代(男性) |
15.1% |
45.7% |
約3.02倍 |
年収別の結婚率
次に、年収別の男性の結婚率についても見てみましょう。
【年収別既婚率】
|
年収が300万円未満の場合 |
年収が300~400万円の場合 |
年収が400~500万円の場合 |
年収が500~600万円の場合 |
20歳代(男性) |
8.7% |
25.7% |
36.5% |
39.2% |
30歳代(男性) |
9.3% |
26.5% |
29.4% |
35.3% |
参照:内閣府結婚応援フォーラム「未婚化の背後にあるもの」
表からもわかるように、年収が高ければ高いほど結婚率は上がります。
しかし、年収が300万円未満の場合は結婚率が10%を下回っていますが、年収が300万円を超えると26%程度と、約3倍にまで増加していることに注目してみてください。
つまり、派遣社員でも年収が300万円以上あれば結婚はしやすいのではないでしょうか。派遣社員、正社員の雇用形態にこだわるのではなく、年収にも注目してみてください。
派遣社員が結婚できない理由は「派遣」のせいではない
さまざまな理由から、難易度が高いと思われている派遣社員の結婚。
しかし、派遣社員が結婚できない理由は「派遣」のせいだけではありません。「日本は全体的に婚姻率が下がっている」という問題にも注目してみましょう。
日本は全体的に婚姻率が下がっている
そもそも日本の婚姻率は徐々に低下しているので、「結婚自体が難しい」という現状があります。
厚生労働省のデータによると、2020年の婚姻率は4.3%と戦後最小の数値になりました。
前年度の4.8%と比べても、明らかな低下が見られます。
結婚自体が難しくなっている中で、派遣社員の結婚はさらにハードルが高くなっているのかもしれません。
派遣社員の彼氏・彼女と結婚するメリットとは
ここまでは、派遣社員との結婚に不安を感じる理由や、派遣社員の結婚率についてご紹介しました。デメリットに感じるような面もありましたが、考え方によっては、「正社員じゃないからこそ結婚に向いている」という見方もできるのです。
本項目では、派遣社員だからこその結婚に対する強み、メリットをご紹介します。
家の近くの勤務地を選ぶことができる
派遣社員の強みは、「働き方が自由」という点です。
働く時間はもちろんですが、勤務地についても希望すれば「自宅近く」を選択することが可能です。
勤務先と自宅が近ければ、その分、家族との時間や家事育児に割ける時間が多くなるでしょう。これは、円満な家庭を築く際に大きなメリットとなります。
正社員で充分な年収が稼げていたとしても、激務で家族の時間が取れないようだと、夫婦間での不満が溜まり、最悪離婚につながることも。
専業主婦(主夫)にこだわる必要性はない
平等な働き方や多様性を重視するようになった現代では、お互いがよく話し合って納得していれば、無理に「専業主婦や専業主夫」にこだわる必要は全くありません。
共働きが当たり前となっている時代なので、男女どちらがメインで働く場合であっても、結果的に家計がうまく成り立っているのであれば良いのです。
男性が派遣社員で女性が正社員の場合や、両者が派遣社員である場合でも、収入に問題がなければ気にする必要はありません。
相手を収入面でもサポートできる
例えば、男性が正社員で女性側派遣社員の場合、女性側は男性を収入面でサポートできるというメリットがあります。
専業主婦でいるよりも、出産後に派遣社員として働く方が仕事もすぐに決まりやすいですし、収入面は安心できます。
いくら男性が正社員とはいえども、現代では終身雇用は難しく、転職の可能性は捨てきれません。
もしものときに備えて、女性が派遣社員として働いていれば、最低限の生活は維持できるでしょう。
派遣社員の彼氏・彼女と結婚するデメリットとは
メリットについてわかったところで、次にデメリットについても確認しておきましょう。
正社員に比べると収入は少ない
出産して子どもを育てるとなると、教育費や食費など、生活にかかる費用は倍増します。派遣社員との結婚を不安に感じる理由でもご紹介しましたが、正社員に比べると収入は少ないという点は、結婚するうえではどうしてもデメリットとなりがちです。
しかし、働く期間が短期間の場合は、時給の高い派遣社員の方が稼げるという実態もあります。
仕事が安定していない
「仕事が安定していない」という点は、派遣社員の大きなデメリットかもしれません。派遣社員の契約期間は、3ヶ月ごとや6ヶ月ごとになっており、「最長で3年間」と決まっています。契約期間満了後は経験者としてさらに給与の高い仕事に就くことも可能ですが、派遣先企業の業績が悪化した場合など、やむを得ない場合は突然契約解除される恐れもあります。
派遣社員が結婚する際のおすすめの戦略
派遣社員が結婚する際には、多くの悩みが発生することがわかりました。
しかし、派遣社員だからといって結婚をあきらめる必要はありません。
上記でご紹介したデメリットが気になるようでしたら、転職する、正社員を目指すという方法もあります。
本項目では、非正規であっても結婚するために役立つ4つの方法をご紹介しましょう。
年収が高い職種を目指す
通訳や貿易関係、専門的なスキルを必要とする派遣の仕事は、時給が高く設定されています。
もしあなたに何か専門的なスキルがある場合は、年収が高くなる職種を目指すのもおすすめです。
また「スキルがない」という方でも、派遣会社ではスキルアップ講座を受けることもあります。スキルアップ講座は無料で受講することも可能なので、派遣会社の制度をチェックしてみてください。今度役立つ資格を取得することも可能ですよ。
時給が1300円以上の良い案件を見つける
たとえば、時給1,300円の場合は、月20日8時間勤務すると20万円以上の収入が見込めます。
さらに時給1,400円では22万円となり、「たかが100円」と思っていても、時給によって収入は大きく差が出てくるでしょう。
時給が高い仕事を選べばその分収入も多く確保できますから、仕事選びの際は、独身時以上に時給に注目してみましょう。
副業を始める
派遣社員の収入だけで不安定と感じる方は、副業を始めてみてはいかがでしょうか。
現代において副業への抵抗感は薄くなっており、正社員であっても副業をしている方がいます。
バイトでも構いませんし、派遣社員の掛け持ちでも構いません。
また、ネットを活用できる方はクラウドソーシングを利用して副業を始めることも可能です。収入を安定させるために、無理のない副業を検討してみましょう。
派遣社員の掛け持ちについて詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
派遣社員は掛け持ち可能?確定申告や税金の注意点・メリットを解説
正社員を目指してみる
派遣社員の働き方にはメリットもたくさんありますが「不安定なことが気になる」と考える方は、結婚を機に正社員を目指すのも方法のひとつです。
正社員であれば福利厚生が派遣社員よりも整っており、雇用期間に定めがないことから不安を感じることもなくなるでしょう。
また、派遣から正社員へのルートを叶えられる「紹介予定派遣」と「常用型派遣」もあります。パートナーとの幸せな未来のために挑戦してみてはいかがでしょうか。
紹介予定派遣
紹介予定派遣は、派遣期間が終了した後、派遣先に正社員として雇用してもらえる派遣です。この派遣のメリットは、正社員として雇用される前に派遣社員をしながら業務内容や会社の職場環境などを体験できること。実際に働いたときのイメージを持てるので、入社後のミスマッチなどが起こりにくいと考えられます。
また、求人を掲載していない会社などにも採用してもらえる可能性があり、こちらもメリットといえるでしょう。
常用型派遣
派遣は一般的に派遣期間が設定されており、期間が満了するごとにそこで終了や更新などを行うものというイメージが強いかもしれません。
常用型派遣は「無期雇用派遣」とも呼ばれており、期限を設けずに派遣会社と契約するものです。派遣会社を介して派遣先で働くという内容は有期の派遣と変わりませんが、常用型派遣の場合、派遣先の就業期間が終了した後も、派遣会社との契約は継続されているため、派遣先で就労していない期間も給与が支払われます。
つまり、正社員のような安定した給与が得られるのです。
派遣社員が結婚報告するベストタイミングはいつ?
派遣社員の場合、「いつ結婚の報告をすれば良いのだろうか」と迷う方は多いようです。
正社員であれば、普段の業務の中で軽い気持ちで結婚報告をすることができます。
しかし派遣社員の場合は雇用主が派遣会社のため、派遣先企業で結婚の話題を切り出すことが難しいこともあるでしょう。
本項目では、派遣社員が会社などに結婚を報告する際のおすすめタイミングをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
結婚式の有無で変わるタイミング
派遣社員の結婚報告には、結婚式の有無が関係してきます。
結婚式を実施する際は、結婚式の招待や休日を取る必要があるため具体的な日取りが決まってから派遣会社に報告することをおすすめします。
結婚式を実施しない場合は、入籍する1ヶ月前に報告をしましょう。
くれぐれも入籍を済ませた後や、結婚式が終わってから「結婚しました」と報告することは避けてください。
結婚して会社を退職するケース
あなたが結婚を機に退職する場合は、代わりの人員を確保する必要がありますから、退職予定日の3ヶ月前には報告してください。代わりの人員を確保して引き継ぎ作業をするためには、ある程度の期間が必要です。
早ければ早いほうが良いですが、最低でも3ヶ月前には派遣会社に報告したほうが良いでしょう。
長期休暇を取る必要がある場合
新婚旅行や結婚式をする場合は、長期休暇を取る必要もあるでしょう。
長期で仕事を休むとなれば、他の人にサポートやフォローをして貰う必要がでてきます。休暇を取りたい2〜3ヶ月前には必ず報告をして、引き継ぎ業務を行いましょう。
派遣社員が結婚した時の手続きとは?
派遣社員が結婚する際には、手続きが多く待っています。
本項目では、結婚後の手続きに悩まないために、必要な手続きや考え方をご紹介しましょう。
保険や契約書などの変更手続きが必要
結婚して名字が変わったり住所が変わったりする場合は、多方面での変更手続きが必要になります。
免許や銀行口座、保険に入っている方は、保険の名義や受取人の名義変更が必要になりますし、派遣会社の登録情報も変更する必要があります。
変更には時間がかかることがほとんどですから、雇用主の派遣会社に早めに伝えて、変更手続きを済ませましょう。
退職するか否かは自分で判断する
結婚したからといって、退職しなければならない決まりはありません。
むしろ結婚後も働く人のほうが多くなっています。
結婚後どう働くかはライフプランを考えて、パートナーと話し合って決めるようにしましょう。
休暇や手当はないことが普通なので注意
派遣社員の場合、結婚したからといって特別な休暇や手当が発生することはありません。
したがって、結婚式や新婚旅行に必要な休みは「欠勤」という扱いになります。
欠勤となればその分収入が減りますから、計画性を持って段取りを進めることをおすすめします。
まとめ:派遣社員でも結婚はできるので希望を持って働こう
今回は、派遣社員には難しいといわれている「結婚」について解説しました。
派遣社員の場合、雇用形態が不安定なことや収入が低いことから、結婚することが難しいというイメージが強いようです。しかし、対策することによって円満な結婚生活を送ることも可能でしょう。
「派遣社員じゃ無理だ」と思う場合には、正社員になることも検討してみてください。
派遣社員だからといって結婚をあきらめるのではなく、派遣社員のメリットを活かしながら結婚生活を送れるような方法をパートナーと共に考えることで、派遣社員でも幸せな結婚生活を送ることができますよ。
出会いの場が豊富な派遣社員ですから、素敵な出会いをして幸せな結婚生活に結びつけましょう。
派遣社員の給与事情について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
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