派遣社員として働くなかで、出張の可能性について疑問を抱いたことはありませんか?多くの派遣社員が、自分たちにも出張の機会があるのか、あるいはどのような条件で出張が可能になるのか、不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、派遣社員の出張事情について、その可能性や注意点を徹底的に解説していきます。この記事を読むことで、派遣社員としての出張に関する疑問が解消され、自分の立場や権利をより明確に理解できるようになるでしょう。
さらに、出張に関する交渉や準備を適切に行うためのヒントも得られるはずです。派遣のしくみについて詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
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目次
派遣社員でも出張できる?
前提条件として派遣スタッフが1名でどこかへ出張に行くという事はありません。
派遣スタッフは派遣先従業員の指揮命令をもって仕事をしなくてはいけないというルールが労働者派遣法で決められているため、普段働いている派遣先事業所以外の場所に1人で出張し仕事をするということができないからです。
ただし、出張先が同じ会社の別事業所で雇用契約書に書かれた指揮命令者が現地に居たり、普段一緒に働いている派遣先企業の従業員と一緒に別の企業へ出向いて仕事をするというケースはあります。
「出張」と聞くと知らない場所で1人で仕事を…なんて想像をしてしまうかもしれませんが、それは派遣のルールでできないことになっていますので安心してくださいね。
しかし、派遣先によっては「どうしても」と出張に行くことを依頼してくる可能性がわずかながら存在します。
ここでは、派遣社員が出張を求められた際に確認しておきたいポイントや注意すべき点を解説していくので、しっかりと認識しておきましょう。
出張が契約書で取り決められていればできる
「出張してほしい」と派遣先からお願いされた場合は、まず契約書を確認しましょう。ほとんどの人は、派遣先との顔合わせ面談の際に業務内容の確認をしたと思います。
派遣社員は、面談で話し合って決めた、契約書に記載のある業務しかできないという決まりがあるため、契約書に「出張業務」の記載がない場合は出張ができません。
出張できるか否かは、契約書から確認するようにしてください。
契約内容を途中で変更すれば出張できるケースもある
契約書の中に「出張業務」が含まれていない場合でも、双方の合意によって契約内容を変更できれば、派遣社員でも出張は可能となります。
契約内容を変更するには、派遣会社への報告が必須なので、くれぐれもあなたと派遣先企業間のみで変更をしないように注意しましょう。
派遣社員の出張費用はどうなる?
派遣社員の出張費用については、一般的に派遣先企業が負担することが多いです。ただし、具体的な取り決めは契約内容によって異なるため、事前に確認することが重要です。
ただし、これらの手当の発生条件や計算方法については、事前に派遣元企業と確認しておくことが大切です。
出張費用の取り扱いは派遣社員の待遇に直結する重要な問題です。不明な点があれば、遠慮なく派遣元企業や派遣先企業に確認しましょう。
適切な費用負担と精算方法を明確にすることで、安心して出張業務に取り組むことができます。
宿泊費の取り扱いについて
派遣社員の出張宿泊費は通常の社員と異なり、派遣先企業が負担することが多いです。
支払い方法は、企業が直接宿泊施設に支払うか、社員が立て替えて後日精算する形式があります。立て替えの場合は速やかな精算が重要です。
宿泊費の上限が設定されていることが多く、超過分は自己負担となることもあります。
宿泊費とは別に、食事代や雑費をカバーする宿泊日当が支給される場合もありますが、金額は企業により異なります。
派遣元と派遣先の間で宿泊費の取り扱いを明確にし、不明点は派遣元に相談しましょう。出張が頻繁な場合は、契約書に宿泊費の取り扱いを明記してもらうことを検討してください。
交通費の支給方法と注意点
派遣社員の出張交通費については、通常の社員とは異なる点があるため注意が必要です。一般的に派遣先企業が交通費を負担し、支給方法には以下のパターンがあります。
実費精算方式 | 領収書を提出し実際の費用を精算する |
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定額支給方式 | あらかじめ決められた金額を支給する |
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交通費を派遣料金に含める方式 | 派遣会社を通じて間接的に受け取る |
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これらの方法は事前に派遣先企業と派遣会社で取り決める必要があります。
また、交通費が給与に加算され課税対象となる可能性や、自家用車使用時の事故責任などにも注意が必要です。
交通費の支給が適切に行われているか派遣社員自身で確認し、不明点は派遣会社や派遣先企業に確認しましょう。
派遣社員は出張を拒否できる?
派遣先企業から出張をお願いされた時に、「行きたくない」と思うこともあるでしょう。
派遣社員のメリットは「自由な働き方や負担が少ない働き方」なので、出張業務は荷が重いと感じてしまっても仕方がありません。
上述したように、契約書で取り入れられている場合は出張を断ることはできませんが、出張を断ることが可能なケースもあります。
契約書に記載がない出張を急に依頼された場合には、「契約にない業務のためできかねます」と断りましょう。
契約書に「出張業務」の記載があった場合は、条件が適切であるかを確認するようにしてください。「宿泊を伴わない出張業務」と記載があるにも関わらず、宿泊する必要がある遠方への出張業務を依頼された場合は契約違反とみなされます。
契約条件は詳細まで確認しておきましょう。
派遣社員の海外出張は2種類ある
出張と聞くと国内での出張業務がメインになりますが、職種によっては海外出張の可能性もあります。
なかなか遭遇しない派遣社員の海外出張ですが、もしもに備えて知識をつけておけばしっかりと対応できるでしょう。
「海外に出張」と一口に言っても内容は2種類あります。1つは派遣会社はそのままで海外に出張して仕事をする「海外出張」、もう1つは派遣先から海外の会社に所属する「海外派遣」です。
それぞれについて具体的に見ていきましょう。
海外出張:日本の事業所に所属
海外出張は、期間が1ヶ月以内と設定されているケースが多い出張です。
出張した際の就業場所が海外であっても、派遣会社や派遣先の手続きは変わりません。「海外出張」と言われた際は、「普通の出張」という感覚で良いでしょう。
海外派遣:海外の事業所に所属
注意したいのは、「海外派遣」という出張形式です。
長期に渡る出張が「海外派遣」に当てはまりますが、海外派遣の場合は手続きが複雑になります。
管轄する労働局に「海外派遣届出書」を提出する必要があったり、派遣会社が派遣先企業に別途詳細の書類を提出する必要があったりなど、手間がかかります。
「海外派遣」と言われた場合には、条件や手続き方法などをしっかりと理解したうえで受けるかどうかを検討するようにしましょう。
派遣社員が出張を受け入れる際の注意点
出張を受け入れる際には、派遣先企業と出張におけるさまざまな条件を話し合ったうえで、書面に残してもらうようにしましょう。
書面として残っていないと、後ほどトラブルになる可能性もあります。
・出張手当は出るのか
・移動時間は勤務時間に含まれるのか
・交通費の精算方法はどうなるのか
・事故やトラブルが起きたときは保証をしてくれるのか
こういった点を書面で残していくと安心です。
さらに、派遣先企業だけでなく、派遣会社も含めた話し合いの場があると不安や疑問をまとめて解消できるので、可能であれば提案してみてください。
派遣社員の出張に関するよくある質問
「出張するのは良いけれど、分からないことが多くて不安」と考え積極的になれない方がいると思います。
本来であれば、派遣社員は出張する必要がありませんが、経験しておけばスキルアップにつながりますし、自信につながるというメリットも存在します。
ここでは出張の全貌が見えず不安を感じる方に向けて、よくある質問に回答していくので、ぜひ参考にしてみてください。
出張手当・宿泊日当は派遣会社を通さなくても良い?
出張手当や宿泊に関わる費用は業務上の必要経費ですから、派遣先企業が直接支払いを済ませても問題がありません。
派遣先企業から直接支払いを受けても、不安に思う必要はないでしょう。
しかし、自分で出張費の費用の立て替えをした場合は注意してください。
費用の立て替えを依頼された場合は、必ず領収書を保管して、派遣会社を通して精算してもらうことを忘れないようにしましょう。
派遣社員の出張には派遣元会社の承認が必要?
派遣社員が出張をするためには所属する派遣会社の許可が必要になります。
実際の業務における指揮命令は派遣先企業の担当者にありますが、あくまであなたの雇用主は派遣会社です。
そのため、本来派遣先企業は、「なぜ出張する必要があるのか」という明確な理由を派遣会社に提出する必要があります。
契約内容に出張が含まれない場合は、契約書を見直さなければいけません。
出張を依頼されて自分が受け入れたいと思った際に、これらの工程が省かれているようであれば、派遣先企業に申し出るようにしましょう。
契約書に「出張」がなければ断れる!
今回の記事では、派遣社員が派遣先企業から出張を依頼されたら出張はできるのか、断る際にはどうすれば良いのかをご紹介しました。
契約内容に「出張業務」が含まれていない場合は出張を断ることができます。
出張手当がつかなかったり、時給に見合っていなかったりする場合も断れる可能性があるので、まずは担当者に相談しましょう。
何度も申し上げましたが、派遣社員の仕事は「誰にでもできる仕事」がメインです。出張は本来であれば正社員が行う業務ですから、無理に引き受ける必要はありません。
もし出張を頼まれて断りたい場合は、本記事を参考にしてみてください。あなたが無理なく働くためにこの記事が役立てば幸いです。
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