派遣社員として働いているけれど、「自分の年収は多い?少ない?」「他の人よりもずっと低かったらどうしよう」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、派遣社員の平均年収についてご紹介します。
年収格差や高給業種についても丁寧に解説するので、これから派遣社員になる方や、新たな業種に就く方でも安心して取り組めるようになるはずです。
派遣で働くメリットやデメリットもご紹介するので、働く上での不安はなくなるでしょう。
派遣の年収から仕事の特徴までしっかりと押さえて、楽しく働きましょう!
目次
【派遣社員の給料】中央値はどのくらい?
派遣社員の月収や収入について詳しく知るには、厚生労働省が管轄する「労働者派遣事業報告書」を確認すると良いでしょう。
毎年の派遣社員にまつわる傾向や収入等、さまざまなデータが掲載されています。
また、「一般社団法人日本人材派遣協会」の公式ホームページからも派遣社員の実情を知ることが可能です。
「みんなはどれだけ給料をもらっているのだろう」と、気になる方は一度チェックしてみてください。
まずは、派遣社員の収入について見てみましょう。
派遣社員の平均年収
厚生労働省の「2020年家計調査」によると、日本全体の年収の中央値は433万円程(男女計)と公表されています。
その一方で、派遣社員の年収中央値は、280万円〜300万円程度と言われています。
正社員と比べるとやはり低めの年収にはなっていますが、職種や男女によっても収入の中央値は異なってくるでしょう。
まずは、参考までに事務職と製造業の平均年収をご紹介します。
仮にフルタイム勤務をした場合、事務職では平均約300万円ですが製造業では約360万円です。製造業は夜勤や残業が多いため手取りとして高くなる傾向にあります。
事務職は主にデスクワークとなり、体力的な負担が軽く済むでしょう。
また、仕事内容もルーティン業務が多いことから複雑さはなく、仕事の容易さから派遣社員の中でも比較的年収は低めになります。
しかし派遣社員の中でもエンジニアや翻訳等資格や専門スキルが必要な場合は、一般的な派遣の仕事に比べると時給が高く設定されていることから、年収も高くなる傾向にあります。
手取り額の計算方法
派遣社員の収入について気になっている方は、まずは手取り額の計算方法を知っておきましょう。
手取りとして手元に入ってくるのは、額面給与のおおよそ75~80%となっています。だいたいの金額さえわかればいいという人は、自分の月給に80%をかけてみましょう。
また、同じ額面給与であっても、扶養している家族の人数や前年の年収などで控除される金額は変化するため、人によっても手取り額には幅が出てきます。
複雑に感じるかもしれませんが、手取り額の計算方法自体はとても簡単です。
気になる方は、まず給与明細を見てみましょう。
基本給や残業代などの諸手当をすべて足した「総支給額」から、保険料や税金などの「控除」を引けば、手取り額となります。
派遣社員と正社員の年収には格差がある?
厚生労働省が発表した「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査」から正社員と派遣社員の年収を考えると、大きな違いが見えてきます。
正社員の中で最も多い約3割を占める帯が「20万円〜30万円」であることに対して、派遣社員の約4割は「10万円〜20万円」の帯に留まっています。
つまり、正社員と派遣社員の間には月々約10万円、年収にすると約120万円もの差があるのです。データだけで見ると「どっちが稼げる」かは非常に明確になるでしょう。
しかし、派遣社員には「自由な働き方」という正社員にはないメリットがあります。後述する「お金だけでない派遣社員ならではの魅力」も考慮してみましょう。
派遣社員もボーナスはもらえるのか
派遣社員は昇給やボーナスがない場合がほとんどですが、手取りのボーナスが加味されていることを認識しておきましょう。
派遣社員は不安定な雇用形態から、ボーナスの査定が難しいため時給にボーナス分が加算されています。
正社員のようにボーナスとしての支給はありませんが、フォローする仕組みにより月々もらえる給料が高くなっているのです。
派遣社員として収入を上げるためにやるべきこと
正社員よりも収入が低い派遣社員ですが、収入をアップする方法があります。
方法としては下記の3つが挙げられますので、ぜひ参考にしてみてください。
・スキルアップして時給アップを目指す
・派遣で実績を積み、派遣先企業から引き抜かれ正社員を目指す
・紹介予定派遣で応募し、最終的に正社員を目指す
事務でもパソコンスキルが上がったり、簿記の資格を取得することでできる仕事の幅が広がり、時給アップにつなげることができます。
また、派遣社員として頑張りが派遣先に認められた場合、直接雇用になり収入アップできる可能性も大いにあるでしょう。
派遣社員でも少し工夫すると収入アップにつなげることができますので、ぜひトライしてみてください。
紹介予定派遣等、収入アップを目指す派遣の種類ついて詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
派遣会社の仕組みとは?派遣社員の実態やメリット・デメリットも解説
派遣社員から正社員を目指すのも方法の1つ
勤続年数を伸ばしたり、スキルアップでコツコツ時給から年収を上げていくことは確かに効果的ですが、思い切って派遣社員から正社員を見据えて働くことも検討してみましょう。
あなたにスキルがあり、企業が欲しいと思える人材であった場合、派遣社員ではなく正社員として働くことは可能です。
派遣社員としてスキルを身に付けた業種があれば、紹介予定派遣はもちろん、自分で企業の採用試験にチャレンジしてみると良いでしょう。
同じ職種でも条件の良い会社へ転職
年収が低く悩んでいる場合は、思い切って転職するのもいいでしょう。
派遣会社や転職エージェントに相談しながら転職活動をすれば、同じ職種でも条件のいい会社が見つかることもあるため、まずは登録や相談だけでもしてみることをおすすめします。
異業種に挑戦してみるのもいいですが、同業種なら今までのスキルも生かせますし、年収アップにもつながるでしょう。
スキルアップを意識する
働きながら資格や免許を取ったり、勉強してスキルアップを意識するのも大切なことです。
例えば、同じ軽作業系の仕事でも、フォークリフトの免許を取得すれば時給アップさせることができるでしょう。
上記で紹介してきたように正社員や転職を目指すのも有効です。しかし、ただ働くだけではなくスキルアップを意識して行動すれば、転職や正社員を目指さなくても時給アップにつながります。
派遣社員で年収400万円以上の高給の業種とは?
年収が低いと思われがちな派遣社員ですが、中には年収400万円を目指せる業種も存在します。
2018年に廃止されたため現在はありませんが、「特定派遣」という専門的な仕事を担当する派遣社員は希少性から高給でした。
しかし、特定派遣がなくなった現在でも高時給を目指せる業種をご紹介します。
時給の高い職種の実態を知る
まずは時給の高い職種はどういったものなのか見ていきましょう。
株式会社リクルートの派遣スタッフ募集時の平均時給調査によると、以下のような結果になりました。
職種 | 時給 | 月給(1日8時間、月20日稼働) |
1位:IT・技術系 | 2,147円 | 342,880円 |
2位:クリエイティブ系 | 1,836円 | 293,760円 |
3位:オフィスワーク系 | 1,592円 | 254,720円 |
4位:医療・介護・教育系 | 1,509円 | 241,440円 |
5位:営業・販売・サービス系 | 1,485円 | 237,440円 |
参考:株式会社リクルート「2022年2月度 派遣スタッフ募集時の平均時給調査」
最も年収が高く人気のある職種は「IT・技術系」です。
いずれも平均時給が2,000円以上と、非常に高い金額ですね。技術系の中には主に翻訳やエンジニアなどがあげられます。
翻訳は時給が高い分、TOEICの点数や翻訳の実務経験を問われるでしょうし、エンジニアも専門的な知識が必要であるため、限られた方のみ活躍できる業種な分、給与面でも待遇が良い傾向にあります。
また2,000円を超える時給設定であれば、年収400万円を目指すことも可能となるでしょう。
2位のクリエイティブ系は、主に新聞・雑誌・テレビ・Web・ゲーム・ファッションといった、あらゆる媒体や制作物に携わる仕事のことを指します。
こちらも専門知識が問われる仕事ではありますが、ただ制作をすると言う仕事というわけではありません。コンセプト設計やスタッフへの発注、スケジュール管理など、制作に関するディレクションや進行管理などを担うケースもあるため、制作系の仕事は向いていないから……と選択肢から外さずに、どういった仕事内容があるのかよく確認してみるといいでしょう。
派遣社員のメリット
派遣社員の平均年収や職種ごとの平均時給などを解説したことで、実際に働く派遣社員の実情が見えてきたのではないでしょうか。
本項目では少し視点を変えて、派遣社員のメリットを4つご紹介します。
仕事だけでなくプライベートを充実させることができたり、未経験でも派遣会社のサポートを受けながらステップアップできたり、嬉しい長所が盛り沢山です。
派遣社員ならではの良さを知ることで、「派遣社員として働くのもアリかも」と考えることができるでしょう。
理想の働き方が体現しやすい
派遣社員は、正社員に比べて仕事の自由が利きやすいです。
「週4で働きたい」「土日は休みが良い」等、自分のプライベートを考慮しながら仕事を探すことができるでしょう。
趣味に時間を割きたい方はもちろん、派遣社員に女性が多い理由でもある「家事・育児と仕事の両立」が実現できる働き方が派遣社員には可能です。
「仕事は大切だけど仕事のみに縛られたくない」と考える方にとって、派遣社員はおすすめの働き方となっています。
人気でハードルの高い仕事も挑戦しやすい
派遣の仕事には「正社員では入社できないかも」と言った大手企業の求人が豊富にあります。
正社員の場合、数々の選考を勝ち抜いていかなければ入社できない大手有名企業でも、派遣社員は働くことができるでしょう。
自分にはハードルが高いと感じる企業や仕事内容に気軽にトライできることは、派遣社員の強みです。
未経験OKの仕事もたくさんある
派遣社員の仕事内容は「誰にでもできる仕事」であることがほとんどです。
したがって、仕事未経験の方や、業界未経験の方でもスタートできる仕事が豊富となっています。
「働いたことがないからできるか心配」と感じる方でも、派遣社員であれば派遣会社のフォローを受けながら働くことが可能でしょう。
派遣会社からのサポートもある
未経験の方はもちろん、スキルアップを目指す方にも派遣社員はおすすめです。
派遣会社には、福利厚生の一環で「スキルアップ研修」のシステムがあります。
自分で通うと高額なスクール代金のOAスクールに格安で通えたり、ビジネスマナーや専門スキルを身につける講座など、さまざまなスキルアップに備える福利厚生は、派遣会社の大きな魅力でしょう。
また、仕事選びの際も自分の担当社員が丁寧に相談に乗ってくれる点もありがたいですね。
派遣社員のデメリット
4つの派遣社員のメリットを解説したことで、より派遣として働くイメージがついたのではないでしょうか。
本項目では、派遣社員として働くために知っておきたい「派遣のデメリット」を解説します。
待遇や不安定さなど、あらかじめ知っておきたいデメリットを認識しておくことで、後悔やミスマッチを感じず働くことができますよ。
収入・雇用が不安定になる可能性がある
派遣社員は、「非正規」の働き方です。
派遣先企業との契約には期限があり、契約終了となれば仕事がなくなり新しい仕事を探すこととなります。すぐに派遣会社が見つけてくれれば良いのですが、場合によってはなかなか次が見つからないこともあるでしょう。
また、派遣社員の場合は不景気のあおりを受けることが多く、急に雇い止めや出勤停止になる可能性も。
したがって、「今月は想定していた日数よりも仕事が少なかったから給料が安すぎる……」と不安定な収入になる可能性があります。
責任のある仕事は任せてもらえないことも
派遣社員のメリットは「誰にでもできる仕事内容」であることが多いため、責任のある仕事ややりがいのある仕事を任せてもらうことは難しいようです。
「仕事でやりがいを感じたい」「認められたい」と上昇志向のある方は、派遣社員の働き方だと物足りなさを感じてしまう可能性もあるでしょう。
まとめ:派遣の仕事の年収や高給業種を理解して働こう
今回の記事では派遣社員の年収や、年収にも関わる派遣社員のメリット・デメリットを解説しました。
派遣社員は、ボーナスがなくとも月々の時給が高く設定されており、契約期間であれば安定して働くことが可能です。
その一方で、働き方の自由さが「雇用の不安定さ」をデメリットとして感じることも分かりました。しかし、仕事だけに縛られることなく、さまざまな仕事を経験できる派遣社員は魅力的な働き方です。
「自由に色々な仕事をやってみたい」と考える方は、ぜひ派遣社員に挑戦してみませんか。
派遣社員の給料について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
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